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リレー・エッセイ 第17回 地域の学校が子どもを育てる

※写真はクリックすると拡大されます。(子どもの写真は拡大されません)

 私が学校支援コーディネーターを務める美麻小中学校は、児童生徒数85名の山間地の小規模な小中一貫校(文科省で言う義務教育学校)です。今は山村留学の子どもが10名余りと小規模特認校制度を利用して美麻地域以外から通う子どもも約10名います。

 その特徴は、コミュニティ・スクールといって地域の人たちが学校支援のためボランティアとして一年を通して大勢関わっていることです。そして子どもたちがそれをおおいに利用して学んでいることです。私はその学校と地域のつなぎ役をさせていただいています。

美麻小中学校は平成26年度よりコミュニティ・スクールとなりましたが、大町市はすべての小中学校が今年からコミュニティ・スクールとなりました。

 美麻小中学校の教育目標は子どもたちが自律した学習者となること。子供たちの個性を尊重し、生涯自分の力で学び続ける力をつけることです。そのために先生方は1年を通じて研修を行い、協働の学びという4・5人によるグループ学習を進めています。子どもたちは分からないときは分からないと自ら言い、わかる子どもが教える、常に生徒同士や先生ともコミュニケーションがあり、だから授業は静かではありません。このことが、子ども同士や先生が仲がいい理由になっています。

 学校には様々な授業に地域のボランティアが来ます。その中でも総合学習の美麻市民科は地域を学ぶ場で、大勢の地域のみなさんが地域についての話をしに来てくれて、学習での作業などでも様々な場面での支援をしています。子どもたちは自由にテーマを決め学びます。そして学んだことは、学校の文化祭と地域の文化祭にも参加し発表します。

 こうして子供たちは地域や地域の人を知り、その良さや課題を知っています。これが地域愛につながります。こうした学びの中で、地域の支援を受けた子どもたちは学習の結果、地域の課題について提言したり、パンフレットを作って良さを発信したり、地域の人と特産品を作りあげたりもします。地域のゆるきゃらを作った子どもたちもいました。

地域の人たちもこうして共に学んでいます。

 また、アメリカのメンドシーノという町との国際交流も特徴で、隔年ごとに訪問をしあっています。国や文化を超えて仲間ができて、コミュニティケーションができるようになります。それを通じて逆に改めて日本や住んでいる地域の良さを知ります。この学びにも地域のボランティアの支援が大きいです。

 こうした支援を行うボランティアが学校運営協議会という場で学校運営にもかかわっていて、そこで様々な意見が出ます。そうした取り組みが学校をよくしていきます。今こうして地方には地方の教育が進められていて、ここでは思考力、コミュニケーション力、問題解決力そして郷土を愛する気持ちを育てています。