リレー・エッセイ 第3回 忙しくも幸せな初夏の山里

真夏のように暑い日があるかと思えばストーブを焚くほど肌寒い日もある、今年の大町の初夏も例年通り、日々でも一日のうちでも大きな寒暖差があります。寒暖差があるためにおいしい果物が採れると聞いた生まれ故郷の山形よりも、もっと寒暖差があるのではないでしょうか。

yagima 001代掻き後の田んぼ大町の街なかで7年半させていただいたお店を閉じ、美麻地区に拠点を移してから2ヶ月近くが経ちました。現在は俵町の自宅からこちらに通い、築120年以上経つ建物の修繕や田畑の作業に時間を費やしています。

yagima 002手植え作業6月上旬、友人達の力を借りながら広さ一反の田植えが終わりました。手植えでの田植えです。代掻きをしたあとの美しい水鏡のような田んぼのやわらかな泥の中に苗を植えていくのには、なんとも言えない楽しさがあるように思います。しかし、この「水鏡」のような田んぼ、作業して半日で私に大事なことに気づかせました。先輩農女子がなぜ顔にタオルを巻き時にサングラスをしているのかということです。水鏡とはまさに言い得たものです。田んぼの太陽の照り返しが鏡のようで、まるで太陽が空と田んぼに1つずつあるかのようなのです。これではいくらつばの広い帽子を被っても顔は太陽の日差しに晒されているのと同じです。ふだん特に日焼け対策をしない私でも、さすがに太陽を正面から顔で受け止めることは躊躇われ。田植え2日目から顔にタオルを巻くことにしました。そういえば、聞くところによると、信州は日本一紫外線が強いとか。yagima 003作業時にはタオルを顔に

ここは街なかから車で10分、標高差も100mほどですが、街なかとでは季節の巡りに時間差があります。だいたい1ヶ月ほどの差でしょうか。街なかでツクシが終わりスギナになる頃、美麻ではまだツクシの胞子が固いままです。6月になり、ようやくレッドクローバーが咲き出しました。美麻の中でも特に車どおりの少ないこの地域、野草も雑草も埃や泥をかぶらず、柔らかくてきれいな様子で生えています。ヨモギ、アザミ、ノビル、カキドオシ、ユキノシタ、ハルジオン、ツルマンネングサ、ハコベ、ツクシ、スイバ… ジャムにしたり天ぷらにしたりお茶にしたり、食卓にいわゆる「草」が並ばない日はなく、食した野草雑草はかなりの数に上ります。yagima 004摘み草今は生まれ故郷の山形で夏になるとよく食べたスベリヒユ(山形ではヒョウと呼んでいました)の若いものを海苔和えなどにして食べています。種も蒔かず、水もまかず、買わず、育てず。ありがたく山の豊かな恵を頂戴する日々です。

先日、子どもが今年から通い始めた美麻小中学校で運動会がありました。保育園の園児から9年生(小中一貫校のため、中学3年生は9年生となります)までが集う合同の運動会です。クライマックスはもちろんリレー。全員が出場し、学年を超えたチームでの対抗リレーです。雪形の残る北アルプスを望みながら大きな声で声援を送るのは格別に気持ち良かったです。yagima 005運動会

移住して10年目。新たに始まった今の暮らしに、忙しくも幸せを感じる日々です。

(大町市定住促進アドバイザー:八木真紀子)