お久しぶりです、中山です。今日はわが家が大町への移住をもくろみ、空き家探しをしていた今から4年前の今頃を振り返ってみたいと思います。
一歩でも南へ!
ここ大北地域には、嫁入りや引越しの際に「南へ転ぶ」ことが良いことのような考えが古くからあったようです(聞きかじりですが)。当時私たちは大町より少し北の村に住んでいました。標高1,000メートルの高地で、北アルプスの眺めが素晴らしく、毎日が森林浴のようなロケーションでしたが、下山(!)するには山道をくねくねドライブしなければなりませんでした。
妊娠中だった私は、産後の生活や仕事への復帰などを考えるといろいろと心配でした。しかし「南へ転ぶ」と脳内で唱えつつも、つわりや産後のドタバタ、さらにはわが家には猫が1匹おり、不動産屋には軒並み難色を示され家探しは難航。息子だけがすくすくと成長していったのです。
そんなときにある人から目からうろこな助言をもらいました。「住宅地図を頼りに、名前が書いていないところはきっと空き家だから」と。その日から、生後半年の息子をベビーシートにくくりつけ、ドライブ三昧の日々が始まったのです。
まるで空き巣!?な空き家物色行為の果てに
いくら子連れとはいえ田舎の住宅街を車でうろうろ、空き家の前で下車してきょろきょろ。果ては「こちらの空き家の持ち主は?」と聞いて回る私たちは不審者以外の何者でもなかったかもしれません。でも、この経験はとても素晴らしいものになりました。そこで出会った工務店さんとは今でもお付き合いが続いています。
結果、地域の民生児童委員さんの口利きで、社地区の松崎という古くからの地域に建つ空き家へ入居が決まりました。賃貸契約でしたが、抜けていた床の張替えやトイレの水洗化などの工事を、前述の工務店さんにお願いして引っ越しました。
その家には3年ほど住み、今は再度引っ越してまた別の空き家に住んでいます。今の地区は新しい家も多く、先に住んだ松崎よりも都会的な雰囲気。子どもが多いところが気に入っています。
高齢者に優しい大町でこれからもずっと
どちらの家も病院やスーパー、駅へ徒歩圏内。実は松崎での経験から、その点を基準に選んだのです。なぜって大町市のお年寄りたちはとても元気で、その要因のひとつに、いくつになっても自分の生活を自分で切り盛りできる環境があるからだと思ったから。最初に松崎に住んだことがいい経験になりました。
定年後、田舎暮らしを夢見てI・Uターンをしても、自動車免許の返却を機に都会へ戻ってしまう人が多いと聞きます。でもここは、徒歩で買い物も病院通いも出来る。「ド正面からの田舎暮らし!」とはちょっと違うかもしれないけれど、庭先に少し畑があって、見上げれば北アルプス。年をとっても電車で街中へも出かけられます。ここなら死ぬまで自力で生きられる。そんな確信が持てるのです。
息子の保育園帰りに庭先で遊んでいると差し出されるジャガイモ(笑)、ぎっくり腰でクの字姿勢の私を心配してドアチャイムを鳴らす93歳のおばあちゃん(恥)…私もここで、いつまでも元気で暮らすんだ! 先輩たちが老後ライフをエンジョイしている姿を見て、そう思うのです。
(大町市定住促進アドバイザー:中山亜輝子)