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リレー・エッセイ 第15回 里山の生活

山の幸を頂く

 埼玉県出身の私が家族で移住した先は、長野県の里山の古民家でした。周りを山と畑に囲まれたこじんまりとした集落での生活も4年がたちました。

 以前から昔の生活に憧れがありました。例えば、自家製の野菜と大豆のお味噌汁。マキで沸かす風呂。炭焼きや家畜の飼育と、地域の祭りなど。当然、そういった生活は苦労が多い事も知っていました。

 移住後は理想の『昔の生活』を少しずつ実現中です。今回はその中から『狩猟』の話をしたいと思います。狩猟にはいくつかの種類がありますが、私は「くくり罠猟」です… と偉そうに言いますが、狩猟免許を取得したばかりです。実際には、早朝、出勤前に師匠が仕掛けた罠を見回り、掛かっていたらTELします。捕獲した獲物はその日に解体して狩猟仲間で分け合っています。朝一で職場に「すみません。鹿が採れたので休みます。」なんて言えません。仕事が休みの時は手伝います。

罠にかかった獣罠にかかった獣

巨大イノシシ

 年始休みのある朝、師匠から電話が…「近くでイノシシを捕獲したので手伝ってくんないかな」。師匠、朝早いっす!! でも、起きたばかりの私はすぐに着替えをし、朝飯を食べ軽トラに飛び乗りました。

 現場に着くとデカい猪が横たわっていました。師匠は「100kgはあるんじゃないか」などと言いながら、急な斜面を下ろしました。最近は大猟と聞いていたので、ダメもとで「…この猪、丸ごと一頭ください」と言うと「いいよ」とまさかの答え。そのままイノシシは私の軽トラの荷台に収まりました…。

 さて、もらって帰ったは良いものの、どうしよう…。獲物は解体するのですが、どこに吊るそう。あたりを見ると壊れかけた小屋の骨組みが…。そこにロープを通し、猪に結び引っ張るが「重っ…」。そりゃあ自分より重いですから。そこでトラックの荷締めを使い何とか引っ張り上げました。

 しかしこいつはデカい、一人じゃ今日中に終わらない。そこで職場の同僚にTEL「イノシシの解体手伝って!」。すぐに駆けつけてくれて、半日かけてようやく終わりました。職場の方に感謝。手伝ってもらえなかったら夜まで終わらなかった…。

イノシシ鍋イノシシ鍋

冷凍庫

 ある冬の寒い日。台所の冷凍庫が、肉で一杯になり困っていたので、師匠に相談すると「知り合いの家に冷凍庫余ってるよ!」と…頂けることになりました。

2人で軽トラで取りに行くと、たっぷり入りそうな冷凍庫が…!! 荷台に乗せ意気揚々と帰ってきました。ところが、家のスペースに入らず、仕方なく外に設置する事にしました。早速中身を洗い、電源を差し込むと稼働。もも肉の燻製などを中に入れます。これは良い! 一頭まるまる入るくらいの大きさです。ありがたや、凍るのを待つとしよう。

 しかし…、翌日確認するとなぜか肉の一部しか凍っていない。冬の朝、外は氷点下。しかし冷凍庫の中は生温かい。これはもしや…、悪い予想は的中し、いくら待っても庫内の温度は下がりません。壊れてる! どうやら移動の際に壊れてしまったようで、冷凍庫は特大の粗大ごみと化してしまいました。

まとめ

 衣食住をほぼ人に頼らざるを得なくなりつつある現代において、選択の余地があるのはとても贅沢な事だと思います。食料を自分で確保すると言う根源的な能力がフルに発揮できる田舎暮らし、これからもドタバタと頑張りたいと思います! 

お手製燻製器お手製燻製器

(大町市定住促進アドバイザー:川面 優)