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リレー・エッセイ 第29回 薪のある暮らしの楽しみ

大町市の今年の紅葉はとても綺麗です。でも、友人は去年の方が良いと言います。

なんでもカラマツの黄色がイマイチらしい。言われてみればそんな気もします。

カラマツは、松なのに落葉する変わり者で、霜が降りる少し前から葉っぱが黄色くなり、その後一斉に落葉します。その時期にカラマツ林に行くと、山は黄色一面でとても見事ですが、車に戻るとボンネットがすごいことになっています。風で散ったカラマツの葉がびっしりと地面を覆い、ワイパーに挟まり、挙句の果てにはブレーキが利かなくなる。だから僕は落葉したカラマツの葉っぱは好きではありません。

今年の紅葉は黄色が多く、モミジや山漆の赤が強く、とても映えました。これで雪でも降れば山が錦に染まると聞いて、今年は散ってしまったけれどいつかは見てみたいと思います。

thumb 201812 kawamo reishoji紅葉の名所、霊松寺

さて、冬がそこまで来ているので、今回は薪生活の楽しみを紹介します。

断っておくと、我が家のストーブは「時計型ストーブ」と呼ばれている物で、重さ約10kg、価格は4千円ほどで購入できますが、本格的な薪ストーブは重さ100kgを超える物もあり、価格も30万円程度になります。それから薪風呂も五右衛門風呂などではなく、風呂釜の燃料が薪になっただけのものです。

しかし、薪生活の楽しみは燃やすだけではありません。DIYが好きな方はぜひ挑戦してほしい、やりがいのあるものです。

素晴らしいのは、多くの薪がタダで手に入る。もちろん、座っているだけではダメですが、灯油・ガスと違い木質バイオマス(薪)はその辺に転がっています。

転がっている場所は「果樹林」「工務店・新築工事の現場」「家の軒先」「山」など(先の二つはイメージですが)。場合によっては持ち主が処分に困っていて、その場合人助けになります。アンテナを常に立て、地域の方と仲良くなると良いと思います。もし薪を頂くことができたらビールやお菓子や、最高の感謝の気持ちなどでお返しします。

持ち帰った薪をストーブに入る大きさにするには、チェーンソーや薪割り機や斧を使います。これらは使い方を誤ると危険ですが、とても便利な道具です。そして時間と体力があれば斧での薪割りに挑戦。割りづらい丸太をマキにする達成感は機械では味わえません。

割った薪は庭先に転がすのでなく、きちんと積んで屋根をかけ1年は乾かしておきます。よく乾いた薪は、火持ちや火力が良く、煙突にススもたまりません。最低でも半年は乾かさないと悲しいことになります。(全然あったかくない、洗濯物が煙くさい、極寒の中煙突掃除など)

薪の積み方について、車で走りながら人の家を覗くと、色々な方法があることに気が付きます。そして、たぶん、性格に左右されます。ビシッと整列させる人も入れば、倒れなきゃいいやという人、適当に積んで倒れちゃう人。色の違う薪を使ったり、中抜きしたりしてヒトの顔を書いちゃう猛者もいます。積み方を工夫するのも楽しみです。

薪ストーブはあたたかい薪ストーブであたたかい生活

そして、一番の楽しみは、一年分の薪が積みあがった時の満足感。一気に貯金が増えたような、冷凍庫にお肉が沢山ストックしてあるような、安心感に包まれます。

寒くなってきたらいよいよストーブにくべましょう。そして、お酒をチビチビやりながら本を読み、最高の時間を過ごします。

まだまだありますが、薪生活の楽しみを挙げてみました。実際に、薪ストーブを検討されている方や薪作りで困られている方は、ご質問いただければ幸いです。林業という仕事柄、チェーンソーのメンテナンスにはそれなりに詳しいつもりです。

皆様に最高の冬が訪れますように。