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リレー・エッセイ 第35回 4年目のりんご作り

アドバイザーの塙です。

2013年に大町に移り住んで早6年が過ぎ7年目に入りました。

りんご農家を目指し約3年間の研修を受け、自分の畑を持って3年となり、今年は自身4回目のりんご作りとなっています。

研修を受けたとはいえ、まだまだ覚えなければならない知識や技術も多く、日々の作業も手探りで進める事もあるのが現状です。

それでも日々成長していくりんごを見ていると、植物もこんなに日一日と表情を変えるのかと驚くとともに楽しさを感じています。

この時期、りんご農家は摘果という作業を行っています。りんごの花は通常、一か所(花そうといいます)に4輪から6輪の花が咲きます。その花の中から中心の1輪を残して全て摘み取ります。樹の大きさにもよりますが、わたしの畑の一本の樹には1,000程の花そうがつくでしょうか。

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この摘み取りはかなりの日数がかかるので、当然のことながらりんごの花はりんごの幼果となっていき、実を摘み取る作業となっていきます。私は一人で作業をしているので、この作業にひと月強の日数がかかります。

そうして、1花そうに1つにした幼果を今度は4〜5花そうに 1果に減らす作業を行います。

単純に計算すると、25輪の中から1つのりんごになることになります。が、そうして選ばれたりんごも収穫時期を迎えるまでに傷がついたり等とさらに選抜されて最終的には40輪に1つ程になってしまいます。

家内は、りんごの花が満開となったりんご畑を見て「これ、全部手で摘み取るの?気の遠くなる作業だね。」と苦笑いしていました。

確かに想像すると大変な作業なのかもしれません。でも自分で育てたりんごを食べてくれた方が、「このりんご、本当に美味しいね。」と言ってくれた時のことを思い出すと、私は大変とは感じていません。

作業の息抜きに、摘果の手を止めて脚立の上で振り返ると綺麗な北アルプスの山々が癒してくれます。大町で、そして、この畑でりんごを生産できることの喜びを感じることのできる時間です。

移住って、ハードルが高いと考えている方も多いと思います。でもそれは自分自身でハードルを高くしている方が多いように感じています。自分の生き方を振り返りこれからの生き方を考えて、新しい歩みを始めても良いと思います。私はこの大町市に移住して良かったと感じています。

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