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リレー・エッセイ 第41回 雪がない冬

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 今回は、ちょっと気になる「雪不足」についての話です。ズバリ、雪国の冬はどうなっちまうんだというつぶやきです。

 いきなり話がそれますが、令和初めての年越しは実家で過ごしました。私の実家は埼玉県北部の熊谷市というところです。夏はとても暑いのですが、冬になると関東平野の空っ風のせいで、かなり冷えます。そんな故郷ですが、今年は穏やかな正月が過ごせました。子どものころに、我慢できないくらい寒かった記憶があるので、拍子抜けしてしまいました。年末には長野でも気候の変化を感じました。熊谷市の実家に帰省するため、大町から安曇野インターに向かう途中、すれ違う車がスキー板やボードを積んでいないのです。例年だと、スキー場に向かう車をたくさん見かけ、自分もテンションが上がっていたものですが、少し寂しかったです。

何年か前の大雪の日の朝、積雪90センチ。今日は仕事を休んで雪かき何年か前の大雪の日の朝、積雪90センチ。今日は仕事を休んで雪かき

 年末年始の雪不足は、スキー場にとっては頭を抱える問題だと思います。少し前まではクリスマス寒波が来て、年末年始の連休には十分積もったそうですが、最近は降雪機フル稼働で大変だそうです。そうやってスキー場が四苦八苦しているのに、大町市街地では朝から降り続いた雪が、昼前に雨になり、夕方にはなくなってしまいました。昨年の暮れの話です。

 そんなことが、ここ何年か続いています。私が大町市に来てからの7年間、雪で苦労したのは、4年目くらいまでです。それ以降は、1月に春のような陽気になったり、2月に湿った雨が降ったりと、暖かくなっている気がします。今年の地区の新年会でも、地元のおじさんが新しい除雪機を自慢しながら「でも、まだ、一度も使ってない、ハハハ」と笑っていました。

 そのうちに雪のない冬が来てしまうのでは、と心配になります。雪かきなし、タイヤ交換なし、の冬は楽ですが、ウィンタースポーツが好きな人にとっては、楽しみを奪われるようなものです。

大雪の日の雪かき、子どもは雪遊び大雪の日の雪かき、子どもは雪遊び

 実は、私が大町に移住した理由の一つは、地球温暖化の進行を緩和できるような暮らしがしたかったからです。具体的には、エネルギーの地域循環です。都会の生活は、選択肢の幅が狭すぎます。例えば、住宅密集地では煙が出る薪ストーブは焚けません。近くに森が無ければ薪を調達するのも大変です。都会では化石燃料しか使えません。化石燃料は大気中の温室効果ガスを増やします。田舎暮らしは車移動で排ガスが…とも考えられますが、都会で出るCO2ほどではないと思います。それに、車の利用は工夫次第で減らすことができます。

 地下深くから掘り起こした化石燃料を海外から運んできて燃やすより、地元で手に入る燃料を使う方がスマートです。しかも、木材資源は早ければ30年毎に循環させることもできます。周りの移住者でも、薪ストーブや薪ボイラーを使っている人が結構います。

木の素材が丸見えのデザインが気に入っているファットスキー木の素材が丸見えのデザインが気に入っているファットスキー

 とは言っても、全国的にはウィンタースポーツをする人なんてひと握りだし、快適便利な生活を止める必要もないと思いますし、「冬に雪を取り戻そう」なんて人は少数派だと思います。でも、予測できない未来に気候変動が原因で、長野でリンゴが採れなくなったり、大町にゴキブリが大量発生したり、全国的にもっと水害が増えたりする前に「自然エネルギー100パーセント」に早くシフトしてほしいものです。

 住む場所を変えなくても、出来る事はあると思います。例えば、電気をこまめに消すとか、肉を食べるのを控えるとか。案外、個人の小さな行動から、大きな仕組みが変わっていくこともあるかもしれません。最近、私の周りでも、ローカルな発電をしようとしている方や、廃油で自動車を動かそうとしている人がいます。

 最後に、このブログを書き終わった1月の土日にやっと雪がしっかりと積もり、まともに滑れるようになりました。早速、8歳と5歳の娘を連れて「鹿島槍スキー場」に行ってきました。子どもがテンションマックスで滑りまくっている姿を見ると、この暮らしにして正解だったと改めて思います。雪のない冬なんて物足りない!

雪が積もったのでお庭でスキー雪が積もったのでお庭でスキー


川面 優(大町市定住促進アドバイザー)