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第48回 山村留学生を迎えて 畑のこと

山村留学生の引き受け農家家庭に

この春から、山村留学生の女の子4人の引き受けを始めました。

山村留学とは、都市部の小・中学生が親元を離れて農村の暮らしを体験しながら生活するものです。この事業は八坂地区が村の時代(大町市に合併以前)に始めたもので、すでに50年以上の歴史があり、全国に広がる山村留学の発祥の地なのだそうです。

いつか、受け入れ農家になりたいという想いを温めていましたが、嬉しいことにこの春から、4人の女の子が我が家で生活をともにすることになりました。

泥だらけになりながら、夕暮れ近くまで、田植えや田んぼの除草にも挑戦。作物を植えたり、野草を採って料理したり。私たち夫婦を「とうさん、かあさん」と呼び、日々の出来事を、笑いや涙も交えながら分かち合う日々です。

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野草の天ぷら
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外で食べる野草天ぷらうどん

新型コロナの影響で、大町に来る前に自宅でステイホーム、大町に来て、引き受け農家へ移る前にも、山村留学センターでステイホーム。親御さんが参加する行事はすべて延期と、厳重な健康管理を行っています。異例の事態がいつ収まるのか、なかなか見えてきませんが、この地だからこそ、のびのびとした学校生活が送れていると、親御さんたちは喜んでくださっています。

ありがたいのは地元の方々の支え。子どもたちに気軽に声をかけてくださったり、農作業などの手伝いをさせてくださったり。「あの子達にはここが第二の故郷だから」、「孫が来たようだよ」、「ここの人たちが仲良く住んでいるところを見てくれたらいい」、こんな言葉を聞くたびに、本当に、「良いところだなー」とありがたくなります。

苗作りのこと

無農薬無肥料で作物を育てている我が家の畑。

例年、種から苗を作るのですが、暑い国が原産のナス科の作物の苗作りには毎年苦戦。春が遅い美麻、こと古民家の我が家では、室内とは言え、一日を通して温かい環境を作るのは難しく、育苗するうえでの安定した温度管理は大きな課題でした。そんな中、今年チャレンジしたのは、ガラスケースを利用した苗作り。友人から譲り受けた男性の身長ほどのガラスケースを2つ繋げ、中にはヒーターを設置、その先にはサーモスタットをつけました。ほかにもガラスケースを繋げたところから暖気が逃げないように工夫したり、思いつく限りの手を尽くしました。嬉しいことに、順調に芽が出、成長、今年はこれまでに育てた苗の中では、抜群に良い苗ができました。

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トマトの苗を定植

固定種や在来の種を使っていますが、写真のトマトは調理用の「なつのこま」。例年にない長雨のあとの猛暑続きでしたが、さすが「苗半作」、しっかり育った苗は、小ぶりですがしっかり実を実らせてくれました。ちょうど今、収穫のときを迎えています。

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実ってきたトマト
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トマト収穫

が、ここにきて新たな問題が。

よく実ったものから、カラスに食べられるのです・・。収穫したあとにカラスのくちばしのあとを見つけてがっかりすることも。実が赤くなり始めてから、キラキラしたテープを張ったり、CDをぶら下げたりしましたが・・。いかに実ったトマトを確保するか。とは言え、苗作りの段階で苦戦していた昨年までに比べたらなんとも贅沢な悩み。来年に向けて、課題は第二ステージに上がりました。

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冷凍庫でトマトを保存

とにもかくにも、収穫したものからきれいに洗って冷凍庫に保存。収穫が終わったら、寸胴でトマトソース作りです。

故郷の夏の味をポーランドの作物で

「ポーランドのものだよ。」と友人が種をくれたので、今年はじめて「ポーリッシュパンプキン」というものを作ってみました。その形状からなのでしょう、日本ではUFOズッキーニと呼ばれているようです。

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UFOズッキーニ、豊作

両親にも食べてもらうことに。早速食べてみたという母からの電話。何を作ったか尋ねてびっくり、「だし」でした。知る人ぞ知る、刻んだ生の夏野菜で作る山形名物の「だし」です。それを聞いて私もさっそく。我が家で採れた青じそ、みょうが、ナス、そしてUFOズッキーニ。異国の野菜感ゼロ、違和感なしの美味しい「だし」ができあがりました。ご飯にもそうめんにも良く合います。

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採れた野菜で山形名物「だし」

ちなみに、こちらのUFOズッキーニ、皮をそのまま生かしてグラタンなどを詰めれば見た目にも楽しい一品になります。

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詰め物をしたUFOズッキーニ料理

これから実りの秋。

美味しい楽しみはまだまだ続きます。