第55回 山村留学生と作った冬の保存食

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干したばかりの大根

干していた大根を、干し上がる前に猿に完食されてしまった去年の冬。今年はどうにか冬の保存食を完成させたいと、干すものの周りに、夫が猿よけのネットを張ってくれました。

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今冬は猿よけネットを設置

この冬、山村留学生の子どもたちと作ったのは、凍み大根、凍み豆腐、そして氷餅。
猿の被害に遭わず、無事に過ぎること数週間。めでたく食することができました。

それぞれちょっとずつレポートします。

まずは凍み大根。

「湯がいて干す」「生で干す」の二種類を作ってみました。事前に得た情報では「同じものができる」とのこと。実際に干し上がったものを触ってみると、湯がいたものは割と硬く締まっており、生で干したものは弾力があって、スポンジのようです。干し上がるまでの日数は、生の方がかかりました。

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湯がいた大根に紐通し
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干し上がった大根を取り込んでいます

実際に煮物にして食べてみると、湯がいたものは、非常に柔らかくて生の大根との違いがあまり感じられません。そして生で干したもの。こちらは歯ごたえがあります。見た目こそほぼ「同じものができる」かもしれませんが、手触りから歯ごたえから、違いは想像以上でした。

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凍み大根の煮物

次は、凍み豆腐です。

「大豆から作った自家製の豆腐を干す」そして「市販の豆腐を干す」、この二種類を作ってみました。

結論を言うと、干してしまうとこの二種類に違いはありませんでした。ちなみに、干す前は自家製の豆腐の方が、大豆の味がします。自家製はできたてを食べるので、余計に味が濃いのかもしれません。そして自家製豆腐の方が、大豆から作る分、達成感は大きいです…

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自家製豆腐作り
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豆腐を型に入れて固めています
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干し上がった大根と豆腐

そして氷餅。

大町の特産品の一つですが、家庭で作るという話をほとんど聞きません。作り方の情報があまりなく、吊るし方も画像を頼りに手探りしました。また、市販のものは障子紙のような薄くて丈夫な和紙でくるんでありますが、「昔作った時は新聞紙で包んだ」と言う情報を得たので、今回は新聞紙で包んでみました。

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まず、ついた餅を切ります
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新聞紙で包みます
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紐で繋いで干します

仕上がった気配にワクワクして取り込み、新聞紙を剥がそうとしたところ… お餅と一体化しています。剥がれません…。折ってみると、中はしっかりフリーズドライ、完成はしています。

新聞紙で包んでいたことを教えてくださった方に改めて尋ねると、新聞紙を使った理由をこう話してくれました。「包み紙はどうしてもお餅にくっついて離れない。白い和紙で包んでも剥がれないのは同じ。白い分、剥がす時に、どこがお餅でどこが紙なのかがわかりにくい。なので、黒く色のついた新聞紙を用いた。紙は包丁でそいでお餅を食べた。」…。

早く干し上がるように小ぶりに作ったので、包丁で削いでしまったら食べるところがだいぶ減ってしまう…。というわけで、試しに水につけること半日。新聞紙がぐちゃぐちゃになることもインクが溶け出すこともなく、ずいぶん剥がれ易くなりました。

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氷餅を新聞紙のまま半日以上水につけているところ

丁寧に剥がしたあとは、ネットで得た情報通りに、ほぐしてフライパンで炒めます。炒め始めて間もなく、あら、まとまってくるではありませんか。食べてみれば、硬いところもなく、市販の氷餅に引けを取りません。

それにしても、市販されている氷餅がなぜ包み紙にくっついていないのか。来冬に向けて、リサーチしようと思います。

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ほぐしたところ
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フライパンで炒めると次第にまとまってきます
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一つにまとまった柔らかな氷餅

何はともあれ、今冬は昨年以上に、大町の「寒さ」を、食を通して楽しむことができました。大町の「寒さ」に感謝!

四季を通して様々な経験を共にしてきた山村留学生。年度末を迎え、先日は「終園のつどい」が開かれました。一人一人の体験発表に加え、日々稽古している日本各地の伝統的な太鼓や舞なども、次々に披露してくれました。

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終園のつどい

脈々と伝わる伝統芸能の世界、エネルギー。
子どもたちが全身全霊で表現するその様子に、圧倒され感激するばかりでした。子どもたちを支える喜びを味わわせてもらえることに感謝を新たにする時間でした。

山村留学生の中には、次年度も継続する子もいれば、進学などの理由で離れる子もいます。春休み、みんなで作った氷餅を食べながら、思い出話に花を咲かせてくれたらいいな。

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福寿草

冬が長い我が家の周りでも、福寿草が咲き揃ってきました。
春が始まっています。


八木真紀子(大町市定住促進アドバイザー)