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第64回 農作業開始の頃

12月から3月末まではスキー場でインストラクターをし、冬を満喫したわたくしは、4月からは本業(ここ数年は冬のスキーの方が本業か 笑)の農作業をスタートいたします。

ご存じの方もいらっしゃいますが、生産のメインはりんごです。830坪程のりんご畑には他に梅・ブルーベリー・プルーン・和梨があり、さらに昨年から150坪程の畑地を借り受け、露地野菜にもチャレンジしています。

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りんごの花

昨年は3月が暖かく、りんごの樹が平年より早く動き出したうえに、移住してから最大の霜害(4月中に計3回の低温)に襲われました。りんごは寒い地方の作物ですので、比較的低温にも耐えます。花芽も、成長段階にもよりますが-2℃位までは耐えてくれます。しかし、さすがに-5℃を下回る気温に3回も襲われてしまえば、被害は甚大です。りんごは、1か所から4~6輪程の花(「花そう」という)が咲き、普通の霜害ではめしべが焼ける(凍って受粉出来なくなる)のですが、花そうごと焼けてしまい、開花期にはどこに花があるの?というぐらいの樹も見られました。さらに、梅雨前後の大雨(しかも長い期間降り続いた)で、葉が落ちてしまう病気が発生し、ダブルパンチ。この被害は、大町市だけでなく県内各地に広がりをみせ、秋から初冬の頃にはりんご難民と呼ばれるような贈答用りんごを探し回る方々が多く見られました。

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摘果前のりんごの赤ちゃん
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摘果後のりんご

今年は、ほぼ平年並みの気候で霜害に見舞われることもなく、今のところ順調に生育してくれています。あとは、雨の量も平年並みであることを祈るばかりです。自然相手の仕事ですから、こんなこともあるのだなと痛感させられた1年でしたが、いい勉強にもなりました。

野菜畑ですが、昨年は色々な作物にチャレンジしました。成功したものもあれば、失敗した作物もありますが、これもまた良い経験になりました。直売所やスーパーの直売コーナーに出荷もしましたが、変わった作物はやはりあまり売れませんでした。やはり普段から使われる野菜が良く売れるようです。今年は、ミニトマトをメインにキュウリ・ナス・ピーマン等は販売も考えて作付けしました。他にキャベツ・カリフラワー・サニーレタス・レタス・ジャガイモ・トウモロコシを植え付けして、あとは枝豆を播種して7月は白菜の準備をする予定です。

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サニーレタス

思えば、農業に関わって今年が10年目の節目の年となりました。振り返ってみると、私自身が作物を育てるのが好きで楽しいんだということに気づけたのが最大の収穫かなと思っています。1人で黙々と作業をすることが圧倒的に多いのですが、自分のペースで好きな曲を聴きながら、時に作業の手を休めて振り返ると北アルプスの素晴らしい眺め。この山を眺めているだけで、あぁ大町に移住して良かったなと思えます。

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畑からのアルプス

ここ数年、農業をやってみたいと考えている相談者が増えているように感じます。しかも、比較的若い方々の相談が多いような。非常に嬉しいことですよね。やっかいなウィルスが登場して、生活様式に変化が起こりました。都会で生活しなければ仕事が出来ないということも、リモートワークが浸透してきたおかげで、自分の好きな場所に住むという選択ができるようになり、地方にも目を向ける方々が多くなってきているようです。また、自分のやりたい仕事や希望する生き方を選択する方も増えているようです。

素晴らしい自然の中で生きていく、自然を満喫する生き方。私はこれからも大町を楽しんでいきたいと思います。


塙 慎一(大町市定住促進アドバイザー)