ここ大町市も梅雨入りしていますが、梅雨明けはいつになるのかと、早くも気をもんでいます。
そうは言いますが、梅雨の時期の楽しみ方はいくらでもあります。自営業のメリットである、晴れたらアウトドア、雨なら家の事と仕事という感じで。梅雨の晴れ間にハイキング、特に高山植物が多いのもこの季節です。
さて、梅雨が過ぎれば夏本番。青木湖ホタル観賞クルーズのガイドのシーズンとなります。大町市には青木湖、中綱湖、木崎湖の3つの湖が南北に並び、青木湖は一番北の湖で、長野県では一番透明度が高く、全国でもトップテンに入るほどです。その理由は、北アルプスの伏流水が湖底から湧き出しているからとか。
また、ホタルというと、見頃は6月下旬だと思う方が多いと思いますが、それはゲンジボタルの場合です。青木湖に生息するのはヘイケボタルなので、大型カヌー(12席)に乗船して観賞します。ネットで検索しても、真夏の時期に乗船してホタルが見られるのは青木湖だけのようですよ。
青木湖でホテル観賞クルーズのワンシーン
どんな様子かというと、お客様が集合したら、まずは安全のためのライフジャケット(救命胴衣)を装着し、次にパドル(漕ぐ道具)を渡して、漕ぎ方のレクチャーをします。これで準備完了。桟橋から大型カヌーに乗り込みます。そして出発。湖は波がなく、風も弱いので、意外と簡単に湖面を進みます。途中、星が見えていれば夏の大三角形など星座の説明をして、間もなくホタルの生息地に到着します。そこでは、ホタルを見ながら説明をします。
ホタルは、岸辺にいるので陸伝いに歩いて行けそうな気がしますが、崖の下や藪漕ぎが必要な陸からでは危険な場所に多く見られ、さらに陸地は蚊に刺されるけど、湖上は虫が少なく、快適なのです。また、ホタルの光が湖面に反射して、写し鏡のように2倍に見え、とっても綺麗です。おまけに対岸のJR大糸線の電車の明かりが湖面に反射して、まるで千と千尋の神隠しのワンシーンのようです。
そんなこんなで小一時間のツアーは終了。夜7時から10時までガイド一人で3往復する時もあります。それなりに疲れますが、お客様の「わーキレイ!」という声に励まされ、やりがいがあります。大敵なのは雨と雷ですね。小雨なら参加者全員に無料の合羽を着てもらい、出発しますが、雷なら中止になるのでがっかり…ということに。
桟橋からいざ出発!
ガイドを始めた頃、ホタルの学習は一通りしましたが、今でも生態の新発見があったり、情報収集もかかせません。ホタルが光るのはオスとメスの愛の交信だと思っていたけど、最近では違う、ホタルは産卵後も光るし、幼虫や卵も光るので、意思疎通だけだと辻褄があいません。どうやら、警戒の意味とか、「私は毒ですよ」と天敵に知らせているのが正解らしいです。
ホタル観賞クルーズのガイドの仕事は、もう10年ぐらいになりますが、最初のきっかけは、主催団体であるアドベンチャークラブから電話があり、「青木湖の真ん中で星座の説明をしてほしい」だったと思います。その頃は、建築設計の仕事と趣味のアウトドアで暮らしていましたが、一般向けの星空観察会を30年間にわたり主催していたので、その活動が目にとまったようです。趣味でやっていることが仕事になるとは思っていなかったので嬉しい誤算、しかも大町市でしかできない仕事に就けたこと・・移住してよかったな!と感じる今日この頃です。
2013年8月1日「信濃毎日新聞」より
梅田敏男(大町市定住促進アドバイザー)