昨年冬から念願の薪ストーブライフを始めた。
自宅を民宿兼自宅として建てたのが平成8年。当時は住宅ローンで建てるために、旅館で調理師をしていた本業以外に家庭教師業のアルバイトをしていた。この家が建ったのは、たまたま移住者の友人であり設計士の定住促進アドバイザーでもある梅田さんに、気軽に自分の小さな民宿を建てる夢を話したのがきっかけだった。
移住後の子育てしながらの収入は決して十分ではなく予算も限られる中、いつかやりたい夢を彼に語ったところ、ひょっとして出来るかもよ?と言われて、設計を考え、建築会社を紹介され、建築会社にはさらに銀行まで紹介されて、あっという間に30年ローンで建ってしまった家だった。当時は、居室2室、客室4室の家で、風呂もトイレも洗面所も食堂もすべて業務と生活の兼用、ある旅行雑誌の取材では、これまで取材した中でもっともコンパクトで安い価格と言われたぐらい小さい家だった。そしてその後、母の介護のために2部屋増築している。
高校時代より全国を一人旅してきた私は、いつかお世話になったようなアットホームなユース民宿(当時の呼び名で今でいうとバックパッカーズの宿とかゲストハウス)を田舎に建てて、旅する人と地域の人を繋ぐのが夢だった。そして昨年ようやく念願の住宅ローンを完済で一区切りがついた。子どもたちも自立して60歳を超えて、できればこれまでやりたいけどできなかったことを一つ一つやっていきたいと思うようになった。そんな私の夢のひとつが、薪ストーブを設置することだった。
我が家の薪ストーブ
そんな私の背中を押したのが、「美麻薪クラブ」という活動。林業者が切った地域の間伐材のなかで、C材といってあまり価値のない木材、このような地域資源を活用してゼロカーボンを地域の仲間と楽しく目指そうという活動。活動趣旨も共感できるし、地域で手に入るというのがやはりありがたい。ただ購入するだけでなく、自分で玉切りして割って使用する。
薪ストーブ導入にかかった費用は約100万円。薪ストーブはストーブよりも煙突が結構高い。ストーブも煙突も安価なものもあるが、見栄えや長期の利用を考えるとそれなりに費用は掛かるものを選んだ。それでも考えていた予算範囲程度であったので決めた。新築時ではなく一度建築した住宅に煙突を設置するのは案外難しいし費用もかかる。煙突の設置の場所の選定は重要だ。
美麻薪クラブの仲間
玉切り
そして案外費用と手間が掛かったのは、薪割りの道具や機械、そして薪棚の設置。しかし、もともとそういうことが好きなのでどんどんすすめた。薪の準備は楽ではないが、薪割りをして薪棚にたまっていくのを見ていると安心感をもつ。それが仲間と行う時は余計に楽しいし、何も知らずに始めたから仲間から教わった技術は本当に役に立つ。それが薪割りサークルのいいところだ。
薪ストーブは暖かくていいと言われるが、それ以上に薪の火を見ていることが癒しになる。火の状態を見ながら薪をストーブに込めること自体、私はまるでペットを飼っているようだと友人に話している。面倒見ないと消えてしまったりうまく燃えない。でもいい火が保たれていると心地よくて癒される。
ストーブ前の1等地は家族と毎日取り合っている。こうして私の田舎暮らしの冬の楽しみが一つ増えた。