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第86回 初夏の大町

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農家にとっては忙しい季節です。りんごはGW頃から摘花と摘果作業、そして野菜畑では霜の心配がなくなる5月下旬に夏野菜の苗の定植がスタートします。ホームセンターでは4月後半から夏野菜の苗が店頭に並び始めます。ビニールハウスがあるのであればGW頃に定植も可能でしょうが、大町市は標高が700 mを超える高地ですので、5月中旬までは霜の恐れが。きゅうりやナス、トマト等は1回の霜で枯れてしまうので早植えはやめた方が安全かなと。キャップを掛けたりして霜対策をしても結局地温が上がってこないので、成長速度は上がらずに、リスクだけが高くなるので焦らないのが肝心だと思います。これもやはり経験が大事で、自分も枯らしてしまったりと、色々やらかしてきました。地元の方々のアドバイスは聞くもんだと実感した次第です。

私自身、まさか農業をするなんて昔は想像すらしていなかったのに、やってみるとこんなに面白いとは思いませんでした。勿論大変なこともあるんですが、大町への移住を考えておられる方には、家庭菜園でも良いので是非作物を育成する事をお勧めします。

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リンゴの花
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サニーレタス
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トマトの苗

移住前、東京でサラリーマンをしていた頃は営業職ということもあって対人(対企業や対顧客)関係で随分とストレスを受けていました。当時はこれが普通なんだと思ってもいましたが、大町に移住して農家として生活してみて、普通ではなかったんだと実感しています。そのようなストレスを苦痛に感じず平気な方なら良いのですが、そうでなければ転職や移住も考えて良いと思います。
ある定住促進アドバイザーが「移住は引っ越しです。」と話した方がいます。目からウロコでしたが、私もその通りだと思います。人生は一度きりです。自分自身、そして家族が「楽しい気持ち」「いいと思える」と感じられる生き方を選択するのは正しい事だと思います。

このエッセイを読みに来ている方の多くは、移住を検討しているあるいは考え始めている方々だと思います。そんな方々にアドバイスなのですが「移住のハードルを自分自身で上げない」事が大切です。住まいはこう、仕事はこうでないと、と細かく設定しすぎて移住前に都会で悩んでいてもなかなか事は進みません。ネットでは得られない情報もあるので、都会で悩んでいるならば一回でも多く現地に足を運ぶ事をお勧めします。

今年は野菜畑に電気柵を設置しました。ここ2年程トウモロコシを植え獣除けのネットをその周りに張って育成していました。が、タヌキがネットを食い破って侵入し毎年被害が… 彼等は匂いや色に敏感です。さあそろそろ収穫というタイミングで襲ってきます。トウモロコシ以外にもトマトやカボチャがやられてしまいました。電気柵を設置したので、今年はトウモロコシに加えて小玉スイカとメロンにチャレンジしています。さあどんな感じに仕上がってくれるか今から楽しみにしています。

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メロンの苗
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メロン

大町市も当然のことながら温暖化の影響を受けています。10年前の冬は一日で股まで埋まるほどの積雪を体験しましたが、ここ数年は一晩に20㎝も積もれば降ったほう、自宅の周りの除雪も2回ほどとなっています。昨年までは35℃を超える猛暑日にはなっていませんでしたが、今年あたり初めてがあるかも。私のメインとなる作物はりんごですが、ひょっとすると遠くない将来には適さない作物になってしまうかもしれません。ですので様々な作物を育成して、自分にあった作物を探していこうと思っています。

皆さん、大町で作物を作り楽しみませんか。自分で育てた作物は美味しいですよ。

 


塙 慎一(大町市定住促進アドバイザー)