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第95回 移住後のこどもの進学

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北アルプスと芝桜

大町に一家で引っ越してきてこの1月で8年となりました。長女が小学校4年生の3学期に。次女は1歳10か月でした。8年で長女はこの春、18歳で大学生、次女は10歳で小学校5年生になりました。移住前は東日本大震災で液状化や断水などを経験した被災経験のある場所で暮らしており、夏は猛暑で、そこから抜け出したい、自然豊かな場所で安心して子育てしたいという気持ちが優先しており、先まで見据えていたかというと全く想像しておらず、行き当たりばったりだったので、今回は高校や大学までの大町で経験した長女の進学についてお話します。(あくまでうちの事例です。)

長女が10歳思春期突入前後の引っ越しでしたが反発されることなく、すんなり移住ができました。そうは言っても実際に引っ越してくると、時々「千葉に帰りたい」とつぶやくことがありました。そのまま学区内の中学校に行ったのですが、コロナ禍に突入したこともあり、中学生活はあまり良い思い出がないというのが実情で、大町市内には大町岳陽高校という、通いやすい高校が近くにあるにもかかわらず、「大町市内は絶対に嫌だ!」と反発されて松本市内の高校を選びました。

高校受験時に驚いたのが、長野県内の高校は公立高校でも制服がない学校が多い事です。約半数が制服、半数が私服らしく、娘も「私服の学校が良い!」という希望のもと、希望通り私服の高校に入学できました。

入学してまた驚いたのが、高校は従来型の授業スタイルだったことです。大町市では小学校から中学校まで対話式授業やアクティブラーニングを積極的に導入していることから、生徒が黒板に向かって机を並べて先生の授業を一方的に聞くスタイルではなく、グループを作り話し合ったり対話しながら授業をしています。高校に入学当初は板書スタイルの授業に、大町から2時間かけて通っていた娘は「聞いているだけだから眠気に勝てない」と言っていたことがとても印象的でした。大町の小中学校の教育を受けてこられたことは良かったことだと思っています。

松本まで車でのアクセスは1時間程度ですが、学校まで電車やバス、時には自転車等を使って乗り継ぎしていると2時間ほど通学に時間がかかります。車で10分ほどの信濃大町駅まで毎朝6時台の電車に間に合うように送迎していました。最初は自転車で駅まで行っていましたが、冬場は降雪で自転車は危険なので、結局自転車で駅まで行っていたのは1年生の秋までで、冬過ぎたらずっと車になってしまいました。小中学校でも毎日親が車で送迎している人が多く、親が車で送迎するのは当たり前な印象もあり、安全の観点からも雨でも雪でも子供に自力で通わせるご時世ではなくなった感も大町にいると感じています。

高校受験の時、絶対に大町市内の高校は嫌だ!と言っていた娘なので、大学の進学先は関東を希望するのかな?と思っていました。選択肢的に考えても圧倒的に選べる幅は首都圏の方が広いし、何人も子供がいると、全ての子供を一人暮らしさせるには仕送りという大きな負担があることから、田舎暮らしでは早めに蓄えておかないといけないな、ということを娘が成長するにつれ考えるようになりました。そういう意味で移住は子供たちのために正解だったのかな?と思うこともあったのですが、意外にも高校卒業後の進路は家から通える範囲を長女は希望しました。高校在学中にお友達と関東や大阪など旅行で遊びに行くようになり、大町の見え方も変わって、首都圏と似たような賑わいのある松本に毎日通うと、「大町に帰ってくると落ち着く」ということに高校3年間で気づいたようです。

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高校時代は一学年8クラス、1クラス40名で初めて経験する大所帯でした。
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制服がない高校なので卒業式も自由な服装で華やかでした

車のアクセスでは大町から松本市も長野市も1時間ですが、電車での通いやすさから、松本市内の大学だと家から、長野市の大学だと一人暮らしをさせている人が多い印象です。松本には国公立の信州大学がありますが学部や学年で松本/長野とキャンパスが変わることもあるようです。通える大学というと松本には私立の松本大学もあります。娘は高校卒業後すぐに免許をとったので、車通学も考えましたが、長野県のガソリン代は高いので、計算したところ圧倒的に電車通学がお得ということで、引き続き毎日駅まで送迎生活が続いています。

日本全体の傾向でもありますが少子高齢化が進み、大町市内の小中学校も再編し少なくなります。県立高校も同様で再編により段階的に減少していくようです。今後を見据えながらというのはなかなか難しいですが、そう言ったことも少し頭の片隅に入れながら移住すると、そんなはずじゃなかった!?ということが少なくなるかもしれません。

大町市では定住促進アドバイザーが、移住希望者の方の相談をお受けしています。子供の学校や子育てのこと、移住のことで不安な事などありましたら、大町市移住定住促進係に連絡するとお繋ぎしてくれますのでお気軽にご相談ください。


小田美恵(大町市定住促進アドバイザー)


  • 小田さんのお店「山麓ファームダイニング 健菜樂食 Zen」のホームページはこちらからご覧ください。
    移住定住協力店にもなっており、相談が可能です。